輝け9条!平和憲法公布63年記念石川県民集会
輝け9条!
平和憲法公布63年記念石川県民集会
九条と基地問題をテーマに活発な討論
11月3日に教育会館3階ホールで開催された「輝け9条! 平和憲法公布63年記念石川県民集会」には、約160名の方が参加されました。
午後1時30分、弁護士の荻野美穂子さんの司会で集会は始まりました。最初に、呼びかけ人の荒島勝夫さんが開会あいさつをおこないました。荒島さんは、憲法9条は恒久平和を願って制定され、戦争体験世代が心から呼びかける「平和への遺言」であると述べ、来年5月に国民投票が実施されうる状況のもとで、国民の過半数が憲法改悪に反対する草の根の運動を強めていこうと訴えました。
続いて、「九条と基地問題を考える」をテーマにパネルディスカッションがおこなわれました。呼びかけ人である岩淵正明弁護士がコーディネイターとなり、3人のパネリストの方から問題提起がなされました。最初は、前岩国市長の井原勝介さんです。井原さんは、岩国基地には現在60機の海兵隊の航空部隊があるが、米軍再編によって厚木から原子力空母G・ワシントンの艦載機60機と普天間基地の空中給油機が移転され、2倍以上の規模となり極東一の米軍の航空基地になると報告されました。そして、昨年2月の出直し選挙では、僅かの差で負けてしまったが、相手陣営は「権力、金、組織を使い、デマを流して」民意をねじ曲げる選挙がおこなったこと、岩国市議会は全会一致で米軍移転反対を決議していたにもかかわらず、「国が決めたことだから」とか「来るものは来るからお金をもらった方がいい」と言って、米軍移転と引き換えに国から公共事業をもらおうとする議員が続出したことも紹介されました。新市長は、山口県と岩国市がおこなってきた大規模住宅開発の行き詰まりを防衛省に買い上げてもらう(米軍住宅として整備される)ことで乗り切ろうとしています。これにたいして岩国市民は裁判を提起するなど「大きな声をあげて、われわれの力で政治を動かしていこう」と決意し、奮闘していると発言されました。
次は、小松基地爆音訴訟弁護団事務局長の川本蔵石さんです。川本さんは、小松爆音訴訟が当時の竹内伊知・小松市長を側面からバックアップすることを目的として昭和50年9月に12名の原告が提訴してスタートしたこと、当時の県評が平和運動の一環として組合が支援したことで昭和58年には原告318名が二次提訴したこと、騒音源である自衛隊機が憲法によって許されない存在だと具体的に訴えて憲法訴訟となったことなどを紹介しました。100ホンの音を毎日聞かされる住民に対して裁判所が認めた損害賠償は1日たった400円にすぎません。「抜本的な騒音対策をとらないばかりか損害賠償の額を減らすことばかりに腐心している」と国の姿勢を批判しました。「静かで平和な空を返せ」を合い言葉に力を合わせてねばり強く闘っていくという決意を述べました。
最後は、小松基地爆音の健康被害調査班の島隆雄さんです。島さんは、たまにしか飛んでこない飛行機がそれほど聴力に影響があるのかと「懐疑的」だったそうですが、実際に調べてみると明らかに差があることがわかり、調査は重要であると述べました。騒音地域に住む住民と非騒音地域に住む住民を比べると、聴覚は6デシベルから8デシベルくらい耳が聞こえにくいことや、血圧も明らかに高くなっていることをグラフなどを使ってわかりやすく説明されました。5次訴訟の中で新たな調査をおこなうことも紹介されました。
続くパネルディスカッションでは、①米軍再編の狙いについて、「自衛隊を米軍と一体化させて効率的に運用させるもの」(川本さん)、「普天間基地の返還も港がある使い勝手のいい基地を新しく辺野古に建設するため」(井原さん)などの問題を指摘する意見が出され、「米軍再編といっても米軍基地機能の強化であってけっして負担軽減になっていない」と岩淵さんがまとめました。②民主・社民・国民が「米軍再編の見直し」を合意したことについては、「日米同盟という考え方を改めない限り、基地の問題は変わらない」(川本さん)などの意見が出されました。岩淵さんからは鳩山首相が「日米安保体制は今後も日本外交の基軸」「重要な柱」と発言していることが紹介されました。③国の基地政策の問題点については、「国益優先で地域住民の人権を守るという基本的立場がない」「10・4協定で定められている健康被害の調査をおこなうべき」(島さん)、「軍事優先の考え方をやめ、9条の非武装中立の理念でどの国とも友好関係をつくるべき」(川本さん)などの批判的な意見が出されました。最後に、岩淵さんがまとめをおこない、明文改憲の動きは3党合意で少し歯止めがかけられているかのようだけれども、世論調査ではまだまだ憲法を変えるべきという意見が多い、われわれは決して気を緩めることはできないと訴えました。
事務局の飯森和彦さんによる賛同人の募集・カンパ要請に続いて、県下の九条の会から報告がありました。九条の会・七尾の高瀬英美枝さんは、11月8日に七尾で予定されている「国民保護」実動訓練に反対しようと呼びかけるとともに、25年にわたってアフガニスタンで支援活動を続けている医師の中村哲さんの講演会への参加を訴えました。九条の会・金大ネットの飯田克平さんは、これまでの活動を紹介し、県内の多くの大学にも働きかけていく決意を述べられました。城北クリニックはあとの会の瀬端由紀子さんが集会アピールを読みあげ、全体の拍手で採択されました。最後に牧師である呼びかけ人の漆崎英之さんが閉会の挨拶をして、集会は終了しました。集会アピールは、関係政党、政府に送付しました。
2009年11月4日 中日新聞
2009年11月4日 北國新聞
集会アピール
本年8月末の衆議院選挙で私たちを取り巻く政治状況は劇的に変化しました。平和と暮らしを破壊し、貧困・格差社会を推し進めた自公政権に対する国民の怒りは爆発し、民意による初めての政権交代が実現しました。改憲を党是として掲げる自民党が歴史的大敗を喫し、与野党含め衆議院での九条改憲派議員はほぼ3割と激減し、護憲を掲げる社民党も加わった鳩山連立政権が発足しました。
しかし、平和憲法をめぐる情勢は依然として予断を許しません。改憲勢力の背景にあった米国の軍事戦略や財界の海外展開戦略は、基本的にはなんら変わっていません。九条に限定せずに問えば衆議院議員の約3分の2が改憲に賛成しています。来年5月の改憲手続法施行を控え、憲法審査会始動の動きは引き続き監視が必要です。
新政権下でも九条空洞化の動きは深刻です。アフガニスタンこそ民生支援を強化する方針が示されていますが、海外派兵恒久化につながるソマリア沖派兵は継続されます。新政権の中心となる民主党は、国連決議による自衛隊の海外派兵には積極的に取り組む方針であり、ミサイル防衛の必要性も表明しています。新政権は連立合意で憲法の「平和主義」遵守を確認していますが、その実現には私たちの運動の力が必要です。
日本には沖縄を中心に134もの米軍基地があり、さらに在日米軍再編計画によって米軍との一体化が進められる自衛隊基地があります。小松基地もその拠点のひとつです。これに対し沖縄では普天間基地の即時閉鎖と辺野古新基地建設の断念を求めるたたかいが全力で展開され、岩国や横須賀、そして小松など全国各地でも米軍の移転反対、基地の縮小や爆音の解消などを求める多様な運動が存在します。これらが連帯を深める中、総体として九条の空洞化を阻止する重要なたたかいが展開されていることを本集会であらためて確認することができました。
オバマ大統領が核兵器廃絶の取り組みを宣言するなど、国内外が大きな歴史的転換期にあるいまこそ、人類の英知の結晶である九条を世界の外交の潮流にしていかなくてはなりません。全国で結成された「九条の会」は7500を超え、「九条の会・石川ネット」は呼びかけ人・賛同人合わせて800人を超えました。日本国憲法公布63年の記念日にあたり、九条の理念の実現に向けさらなる運動の拡大を確認しあい集会アピールとします。
2009年11月3日
日時 | 2009年11月3日(火・祝) 午後1時30分~4時30分 ※開会時間が30分早くなりました。 |
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会場 |
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内容 |
1.シンポジウム 「九条と基地問題を考える
2.県内各地での九条の会の活動報告 3.集会宣言の提案と採択 |
参加費 | なし(会場では募金をお願いします) |
手話通訳 | あり |