九条の会・石川ネットアピール
石川県民のみなさんへ
私たちは、いくたの戦争、そしてヒロシマ・ナガサキへの原爆投下など残虐な兵器によって世界中に多大な犠牲を生み出した2つの世界大戦をへて、国際紛争の解決であっても武力を使ってはならないという教訓を導き出しました。とりわけ先の侵略戦争で戦争責任を負った日本は、戦争放棄と戦力を持たないことを定めた第9条を含む平和憲法を世界に先駆けてつくり、世界の人々の平和を願う思いを実現しようと決心しました。
しかし、今、この第9条を中心とした日本国憲法を「改正」しようとする動きが、かつてない規模と強さで台頭しています。憲法上の拘束を実際上破って自衛隊の海外派兵と武力の行使、集団的自衛権を容認し、さらに非核三原則や武器輸出の禁止などの重要施策を無きものにしようとしています。また、子どもたちを「戦争をする国」を担う者にするため、教育基本法をも変えようとしています。これらは、アメリカ政府に従って日本を「戦争をする国」に変えようとするものに他なりません。
石川県内の自衛隊基地からも隊員がイラクに派兵されています。さらに小松基地や志賀原発が攻撃対象となるおそれが現実のものとなっています。
そもそもアメリカ政府によるイラク軍事攻撃は、国際法に違反するのみならず、その後の占領の泥沼状態も、あらためて武力による紛争解決がいかに非現実的であるかを明らかにしています。1990年代以降の地域紛争への大国による軍事介入も、紛争の有効な解決にはつながりませんでした。だからこそ、東南アジアやヨーロッパなどでは、紛争を外交と話し合いによって解決するための、地域的枠組みをつくる努力が強められています。
私たちの国も、憲法を「改正」してこの国を「戦争をする国」につくりかえるのではなく、今、あらためて第9条を外交の基本にすえることこそが、求められています。第9条に基づき、アジアをはじめとする諸国民との友好と協力関係を発展させ、アメリカ政府との軍事同盟だけを優先する外交を転換し、世界の歴史の流れに、自主性を発揮して現実的にかかわっていくことが急務です。第9条を持つ国だからこそ、相手国の立場を尊重した、平和的外交と、経済、文化、科学技術などの面からの協力ができるのです。
私たちは、平和を求める世界の市民と手をつなぐために、あらためて第9条を激動する世界に輝かせたいと考えます。そのためには、この国の主権者である私たち一人ひとりが、第9条を持つ日本国憲法を、自分のものとして獲得し、日々行使していくことが必要です。多くの県民のみなさんが、「改憲」のくわだてを押しとどめるために、平和主義、基本的人権の尊重、国民主権をかかげる日本国憲法を守るという一点で心を合わせ、一人ひとりができるあらゆる努力を、いますぐ始められることを心から訴えます。
2004年12月15日